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確率分布の選び方:モンテカルロシミュレーションで使う分布はどれか?

ガイド · 2026年10月更新

分布は、名前ではなく、不確かな数値についてわかっていることから選びます。専門家の低い値・最も可能性の高い値・高い値の3点ならPERT分布か三角分布、コストや所要期間のように正の値で上側の裾が長い量なら対数正規分布、対称な測定値なら正規分布、故障までの時間ならワイブル分布、事象の回数ならポアソン分布、起きるか起きないかならベルヌーイ分布、0〜1の割合ならベータ分布、足すと全体になる複数の割合ならディリクレ分布、期間の最大値ならガンベル分布かGEV、件数と規模で決まる損失の合計なら複合分布、過去のデータがあれば当てはめた分布です。下の質問に答えると、1〜2問で分布が決まります。xellstormには、自作のテーブルを含めて全部で52種類の分布があります。

分布を選ぶ

不確かな数値に当てはまるものを選んでください。1つでは決まらないときは、その下に2つ目の質問が開きます。

不確かな数値は何ですか?
低い値と高い値は、何を表していますか?

PERT分布

最小から最大までなだらかな曲線を描き、最も可能性の高い値で山になります。限界値にはめったに届きません。平均は(最小+4×最頻+最大)/ 6で、最も可能性の高い値に近いままです。

xellstormでは、PERTを選び、最小、最頻、最大を入力します。新しい入力は、PERTから始まります。

PERT分布のガイド

三角分布

最小から最も可能性の高い値まで直線で上がり、最大まで直線で下がります。同じ3つの数値のPERT分布より広く散らばり、見積もりをより慎重に読む形になります。

xellstormでは、三角分布を選び、最小、最頻、最大を入力します。

三角分布のガイド

一様分布

最小から最大の間のどの値も、同じ確率で起こります。範囲のどのあたりがもっともらしいか本当に言えないときだけ使ってください。

xellstormでは、一様分布を選び、最小と最大を入力します。

一様分布のガイド

パーセンタイルに当てはめた分布

P10とP90を最小・最大として使うと、その外側にある20%の結果が抜け落ちます。代わりに、P10、P50、P90を通る形を当てはめます。上側の裾が長いなら対数正規分布、左右対称に広がるなら正規分布です。

xellstormでは、入力を選び、サイドパネルの「見積もりから」を使います(PERT、正規分布、対数正規分布、三角分布)。パーセンタイルによる三角分布を選ぶ方法もあります。

P50、P80、P90の解説

データに当てはめた分布

分布の選択はデータに任せます。いくつかの形を当てはめ、どれがその値をよく説明するかを比べます。過去の履歴が今も代表的かどうかを確認してください。標本が小さいと、極端な値についてはほとんどわかりません。

xellstormでは、入力を選び、サイドパネルの「データから」を使います。正規分布、対数正規分布、ガンマ分布、ワイブル分布、ベータ分布、ポアソン分布、負の二項分布などを当てはめ、当てはまりのよい順に並べます。

例題:配送リードタイムへの当てはめ

ベルヌーイ分布

確率pで1、それ以外は0です。事象の影響額を掛けると、各試行でのコストになります。平均になることはなく、常に全額か0のどちらかです。

xellstormでは、ベルヌーイ分布を選んでpを入力します。影響額は別のセルに置きます。

ベルヌーイ分布と二項分布のガイド
どんな回数ですか?

ポアソン分布

期間あたりの平均回数という1つの数値で決まる整数です。分散は平均に等しくなります。

xellstormでは、ポアソン分布を選び、平均を入力します。

ポアソン分布のガイド

負の二項分布

分散が平均より大きい回数です。ポアソン分布より、静かな期間も忙しい期間も多くなります。需要や、まとまって出る不良によく見られます。

xellstormでは、負の二項分布を選んでnとpを入力します。過去の回数に当てはめる方法もあります。

ポアソン分布と負の二項分布のガイド

二項分布

同じ確率pで起こる独立なn回の試行のうち、「はい」になった回数です。0からnまでの値をとります。

xellstormでは、二項分布を選び、nとpを入力します。

二項分布のガイド
どんな時間ですか?

ワイブル分布

典型的な寿命を表す尺度パラメーターと、故障が時間とともにどう起きるかを表す形状パラメーターで決まります。形状パラメーターが1より小さいと初期故障、1より大きいと摩耗故障です。

xellstormでは、ワイブル分布を選び、形状とscaleを入力します。

ワイブル分布のガイド

指数分布

必要なのは、事象の平均間隔という1つの数値だけです。経過時間は関係なく、次の1時間に事象が起きる確率は常に同じです。

xellstormでは、指数分布を選び、平均をscaleに入力します。

ワイブル分布と指数分布のガイド

対数正規分布(見積もりがあるならPERT分布)

正の値で、上側の裾が長い分布です。専門家による所要期間の3点見積もりがあれば、限界値の範囲内で、PERT分布が同じ役目を果たします。

xellstormでは、対数正規分布を選びます(s、scaleは中央値、locは0)。過去の所要期間に当てはめる方法もあります。

対数正規分布のガイド

ガンマ分布

複数の指数分布の待ち時間を合計した分布です。形状パラメーターが待ち時間の数、尺度パラメーターが1回あたりの平均になります。正の値で右に歪んだ形を表す、汎用の分布としても使えます。

xellstormでは、ガンマ分布を選び、a(形状パラメーター)とscaleを入力します。

ガンマ分布のガイド
1つの金額ですか、それとも多数の合計ですか?

対数正規分布

大半の値は代表値の近くにあり、一部が大きく上に外れます。平均が中央値より上にあるため、代表的な値で組んだ予算は不足しがちです。ガンマ分布も似た形ですが、裾は細くなります。

xellstormでは、対数正規分布を選ぶか、「見積もりから」でP10、P50、P90から当てはめます。

対数正規分布のガイド

スプライス(本体+裾)

ある点より下と上で、別々の分布を使います。たとえば、ふだんの損失には対数正規分布、しきい値を超える損失には一般化パレート分布です。点より下の割合を指定するか、空欄のままにすると、2つの密度が同じ高さでつながります。

xellstormでは、スプライス(本体+裾)を選び、その行で本体(分岐点の下)、裾(分岐点の上)、分岐点を設定します。

対数正規分布のガイド

複合分布(頻度 × 規模)

試行ごとに、ポアソン分布や負の二項分布などの頻度の分布からイベントの件数を引き、その件数だけ、対数正規分布などの規模の分布から大きさを引いて合計します。イベントのない年のコストは0で、複数ある年はすべてを足し合わせます。イベントごとに免責額と上限を適用できます。

xellstormでは、複合分布を選び、その行で頻度、規模、必要ならイベントごとの免責額と上限を設定します。

ポアソン分布のガイド:イベントの件数を数える

ガンベル分布またはGEV(一般化極値分布)

多数の値の最大値は、上側の裾が長い極値分布に従います。ガンベル分布は形が決まっています。GEVは形状パラメーターが加わり、より重い裾や、上限で終わる値も表せます。すべての値ではなく、各期間の過去の最大値を使ってください。

xellstormでは、ガンベル分布(loc、scale)を選ぶか、「データから」で過去の最大値に当てはめます。GEV(一般化極値分布)を選ぶ方法もあります。その形状 (c) は、scipyと同じく通常のξの符号を反転したもので、上側の裾が重いときは0未満です。

正規分布

平均と標準偏差で決まる、釣り鐘型の曲線です。小さくて独立した多数の不確実性の合計も、この形で表せます。

xellstormでは、正規分布を選び、平均と標準偏差を入力します。

正規分布のガイド
1つの割合ですか、それとも全体を構成する複数の割合ですか?

ベータ分布

定義上、値は0〜1の間に収まります。平均はα / (α + β)で、αとβの合計が大きいほど、ばらつきは小さくなります。

xellstormでは、ベータ分布を選び、aとbを入力します(割合ならlocは0、scaleは1)。

ベータ分布のガイド

ディリクレ(合計の配分)

セルごとに不確かな割合が1つずつあり、どの試行でも割合を足すと合計に一致します。各セルのαをαの合計で割った値がそのセルの平均の割合で、αが全体として大きいほど、割合のばらつきは小さくなります。各割合を単独で見ると、ベータ分布に従います。

xellstormでは、セルの範囲を1つの入力にしてディリクレ(合計の配分)を選び、セルごとのalphaと合計(空欄なら1)を入力します。

ベータ分布のガイド

時系列

各期は前の期から始まるので、悪い月の影響は次の月に引き継がれ、毎回独立に引き直されることはありません。ランダムな率で伸びる価格や、ある水準のまわりをさまよう比率が当てはまります。

xellstormでは、セルの行を1つの入力にして、引き方を「時系列(1つの経路)」にし、GBM(成長)、ランダムウォーク、AR(1)、平均回帰、ジャンプ拡散のいずれかを選びます。

例題:資金が尽きるまでの期間

分布の一覧

パラメーター名は、xellstormの分布メニューの表記どおりです。どの分布にも、切断(2つの限界値の間の値だけを残す)とシフトを指定できます。

主な確率分布:何を表すか、xellstormでのパラメーター、Excelでの乱数の引き方
分布表すものパラメーターExcelでの引き方
PERT分布限界値つきの専門家見積もり(最も可能性の高い値を重視)最小, 最頻, 最大BETA.INV(RAND(), α, β, min, max)
三角分布限界値つきの専門家見積もり(限界に近い値もありえる)最小, 最頻, 最大SQRTを使ったIF(ガイドを参照)
一様分布どの値も優先されない範囲最小, 最大min+(max-min)*RAND()
正規分布左右対称のばらつき:測定値、誤差、多数の部品の合計平均, 標準偏差NORM.INV(RAND(), mean, sd)
対数正規分布正の値で上側の裾が長いもの:コスト、損失、所要期間s, scale, locLOGNORM.INV(RAND(), LN(median), s)
ガンマ分布正の値で右に歪む。複数の待ち時間の合計a, scale, locGAMMA.INV(RAND(), shape, scale)
ベータ分布0〜1の間の割合・率a, b, loc, scaleBETA.INV(RAND(), α, β)
ワイブル分布故障までの時間(摩耗故障、初期故障)形状, scale, locscale*(-LN(1-RAND()))^(1/shape)
指数分布一定の頻度で起きるランダムな事象の間隔scale, loc-mean*LN(1-RAND())
ポアソン分布ある期間に平均的な頻度で起きる事象の回数平均POISSON.DISTとCOUNTIFの表(ガイドを参照)
負の二項分布ポアソン分布より偏りの大きい回数:需要、まとまって出る不良n, pNEGBINOM.DISTとCOUNTIFの表
ベルヌーイ分布事象が起きる(1)か、起きない(0)かpIF(RAND()<p, 1, 0)
二項分布n回のうち「はい」になる回数n, pBINOM.INV(n, p, RAND())
離散一様分布範囲内の整数。どれも同じ確率下限, 上限RANDBETWEEN(low, high)
離散テーブルいくつかの値と、その確率値と確率の表累積確率の表引き
パーセンタイルによる三角分布パーセンタイルで指定する三角分布(限界値ではない)下端, 最頻, 上端, 下端%, 上端%–
t分布左右対称で裾が重い:収益率、外れ値を含む誤差df, loc, scaleloc+scale*T.INV(RAND(), df)
ガンベル分布多数の値の最大値:年間のピーク負荷、洪水loc, scaleloc-scale*LN(-LN(RAND()))
GEV(一般化極値分布)多数の値の最大値(裾がより重い場合や、上限がある場合)形状 (c), loc, scaleloc+scale*(1-(-LN(RAND()))^c)/c
メタログ分布複数のパーセンタイルを通る柔軟な形値と確率の表–
複合分布ランダムな件数のイベントの合計(規模は1件ごとに異なる):保険金請求、損失頻度, 規模, 免責額, 上限–
スプライス(本体+裾)ある点の下と上で別の分布:本体と重い裾分岐点の下, 分岐点の上, 分岐点, 下側の割合–
ディリクレ(合計の配分)どの試行でも合計に一致する割合:市場シェア、予算の配分alpha(セルごと), 合計各セルのGAMMA.INV(RAND(), alpha, 1)を、その合計で割る

xellstormの分布は全部で52種類です。アプリのメニューに29種類が並び、さらに23種類が「その他の分布」にあります。その多くはExcelアドイン向けに作られたモデルで使われており、xellstormが取り込み時に変換します(アドインからのモデルの移行を参照)。

全分布をExcel数式にしたファイル

このページのExcelファイルは、分布ごとに1行で、パラメーター、RAND()の乱数、その乱数から引いた値、そして数式で求めた平均、P10、P90が入っています。F9キーを押すと、引いた値がすべて変わります。右端の列には同じ分布をxellstormの入力として設定してあるので、実行するとExcelの引きとxellstormの引きを並べて確認できます。このサイトの各ガイドでは、ファイルの数式を10,000回のこうした引きと照合しています。

examples/distributions.xlsx:分布ごとに1行。数式で求めた平均、P10、P90
分布例とパラメーター平均P10P90
正規分布来シーズンの需要(個)
平均 1,000、標準偏差 200
1,0007441,256
対数正規分布クレーム1件の修理コスト(USD)
中央値 2,000、lnのばらつき 0.8
2,7547175,576
三角分布1項目のコスト(USD千)
最小 80、最頻 100、最大 140
106.791.0124.5
PERT分布1項目のコスト(USD千)
最小 80、最頻 100、最大 140
103.389.2118.7
一様分布単価(USD)
最小 40、最大 60
504258
ワイブル分布ポンプの寿命(時間)
形状 1.5、尺度 20,000
18,0554,46234,874
指数分布故障の間隔(時間)
平均 500
500531,151
ポアソン分布1週間のクレーム件数
平均 4
427
負の二項分布1週間の受注件数(ばらつきが大きい場合)
成功数 4、確率 0.5
418
ベルヌーイ分布リスクが起きる(1)か、起きない(0)か
確率 0.3
0.301
二項分布50個のロットに含まれる不良品
試行回数 50、確率 0.04
204
ベータ分布契約を更新する顧客の割合
アルファ 8、ベータ 2
80.0%63.2%93.9%
ガンマ分布連続3回の修理が終わるまでの日数
形状 3、尺度 2
6.02.210.6

よくある間違い

分布別ガイド

よくある質問

データがないとき、どの分布を使えばよいですか?

その量に詳しい人に、低い値、最も可能性の高い値、高い値を聞き、PERT分布か三角分布を使います。低い値と高い値が限界値ではなく「10回に1回」のケースなら、そのパーセンタイルに分布を当てはめます。そのうえで、出てきた数値が示す内容(平均、P10、P90)を、数値をくれた人と確認してください。

コスト見積もりには、どの分布が向いていますか?

コスト項目ごとに、3点見積もりからPERT分布か三角分布を作ります。明確な最大値がなければ対数正規分布です。起きるかどうかわからないリスクには、ベルヌーイ分布に影響額を掛けます。合計は見積もるのではなく、シミュレーションで求めます(プロジェクトのコンティンジェンシーの例を参照)。

作業の所要期間には、どの分布を使えばよいですか?

作業ごとの3点見積もりからPERT分布か三角分布を作るか、過去の所要期間に対数正規分布を当てはめます。どちらも上側の裾が長くなります。スケジュール全体は、作業のネットワークをシミュレーションして求めます(スケジュールリスク分析を参照)。

保険金請求やオペレーショナルリスクの損失には、どの分布を使えばよいですか?

期間内に損失が何件起きるか(頻度)と、1件ごとの大きさ(規模)を別々にモデル化し、複合分布で合計します。件数にはポアソン分布か負の二項分布、大きさには対数正規分布、ガンマ分布、パレート分布を使います。大きな損失がふだんの損失より重い裾に従うなら、しきい値より上に一般化パレート分布を置き、その下の本体とつなぎます(スプライス)。別々にモデル化すれば、それぞれを対応するデータで確かめられます。免責額や上限は、損失1件ごとに適用されます。

合計が100%になる割合は、どうシミュレーションすればよいですか?

セルごとに別々の分布を使うのではなく、ディリクレ分布でまとめて引きます。独立に引いた割合の合計が100%になることは、めったにありません。Excelでは、各セルでGAMMA.INV(RAND(), alpha, 1)を引き、それぞれをその合計で割ります。xellstormでは、セルの範囲にディリクレ(合計の配分)を選びます。

分布がデータに合っているかは、どう判断しますか?

いくつかの分布を当てはめて比べます。xellstormの「データから」は、当てはまりのよさを評価し、パラメーターが増えるほど減点するAICで順位を付け、それぞれの適合度検定も表示します。ヒストグラムと曲線も見比べてください。特に、判断に影響する側の裾を確認します。標本が小さいときは慎重に扱ってください。

分布の選び方で、結果は大きく変わりますか?

中央よりも裾が変わります。同じ3つの数値、または同じ平均の2つの形は、平均が近くても、P90や予算を超える確率が違うことがよくあります。重要な場面では、同じ乱数を使うシナリオとして両方を実行し、比べてください。

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