Excelのベータ分布:不確かな割合・率・パーセンテージ
ひとことで言うと:更新率のような、不確かなパーセンテージです。常に0%〜100%の間に収まり、2つの数値で、中心がどこで、どれだけ確かかが決まります。
ベータ分布は、更新率、市場シェア、歩留まりのように、0〜1の間に収まる必要がある、不確かな割合・率・パーセンテージを表します。2つの形状パラメーター、アルファ(α)とベータ(β)で決まり、平均はα / (α + β)です。Excelでは =BETA.INV(RAND(), alpha, beta) で値を引けます。アルファが8、ベータが2の更新率なら、平均は80.0%、P10は63.2%、P90は93.9%です。
ベータ分布とは
正規分布では、パーセンテージが0%を下回ったり100%を超えたりしえます。ベータ分布ではそれが起きません。0〜1の区間の中にだけあり、2つの形状パラメーターで、区間内のほぼどんな山の形にも曲げられます。アルファがベータより大きいほど、値は1に近づきます。両方が大きいほど、山は細くなります。
グラフの見方:線は、アルファとベータの組ごとの形です。線の山があるところが、そのパーセンテージが最も出やすい値で、山が細いほど確実性が高いことを示します。
数式:平均、山の位置、標準偏差
| 量 | 数式と計算例 |
|---|---|
| 平均 | α / (α + β) = 8 / 10 = 80.0% |
| 山の頂点(最頻値) | (α − 1) / (α + β − 2) = 87.5% |
| 標準偏差 | √(α β / ((α + β)² (α + β + 1))) = 12.1% |
| 60%を下回る確率 | =BETA.DIST(0.6, 8, 2, TRUE)= 7.1% |
平均と標準偏差からアルファとベータを決める
アルファとベータで考える人はほとんどいません。「約80%、プラスマイナス10ポイント」(平均0.8、標準偏差0.1)と言えるなら、パラメーターは次のように決まります。α + β = mean × (1 − mean) / sd² − 1 = 15、そしてα = mean × 15 = 12、β = 3です。このベータ分布は、上のもの(標準偏差12.1%)より細く、P10 – P90は66.3%から91.9%です。α + βには便利な読み方があります。見積もりの裏にある観測数のように働くので、数件で見た率は幅の広いベータ分布に、数百件で見た率は幅の狭いベータ分布になります。
Excelでのベータ分布
BETA.INV(probability, alpha, beta, [A], [B]) はパーセンタイルを返し、RAND() を使えば乱数による値になります。数式は =BETA.INV(RAND(),D16,F16) です。省略できるAとBで、分布を20〜60日のような別の区間に引き伸ばせます。PERT分布はこの方法で引いており、PERTは、最小から最大に引き伸ばしたベータ分布です。BETA.DIST(x, alpha, beta, TRUE) は、値がx以下になる確率を返します。
| セル | 数式 | 値 |
|---|---|---|
| 乱数 u(I16) | =RAND() | |
| 引いた値(J16) | =BETA.INV(I16, | |
| 1つのセルで引く | =BETA.INV(RAND(), | |
| 平均(K16) | =D16/(D16+F16) | 80.0% |
| P10 (L16) | =BETA.INV(0.1, | 63.2% |
| P90 (M16) | =BETA.INV(0.9, | 93.9% |
数値の確認:理論値と、Excelとxellstormがそれぞれ引いた10,000個の値の比較
| 理論値 | Excel(RAND()) | xellstorm | |
|---|---|---|---|
| 平均 | 80.0% | 79.9% | 80.0% |
| 標準偏差 | 12.1% | 12.1% | 12.1% |
| P10 | 63.2% | 62.6% | 63.2% |
| P50(中央値) | 82.0% | 81.9% | 82.0% |
| P90 | 93.9% | 93.8% | 93.9% |
Excelは RAND() で完全にランダムに引きます。xellstormは範囲全体に均等に散らして引く(ラテンハイパーキューブサンプリング)ので、統計値が理論値に近くなります。
ベータ分布の使いどころ
- 率と割合:コンバージョン率、更新率、債務不履行率、市場シェア、歩留まり、予算のうち予定どおりに使った割合などです。
- 範囲が決まっている量で、形を自分で調整したいとき。その区間に引き伸ばして使います。最小・最頻・最大の3点があるなら、PERT分布がこれを自動でやってくれます。
xellstormでベータ分布を入力する
- セルを入力にして、「分布」ステップでベータ分布を選びます。aとb(アルファとベータ)を入力します。locは区間の下端、scaleは区間の幅で、割合なら0と1です。
- 過去の率があれば、サイドパネルの「データから」で、0〜1の値にベータ分布を当てはめます。別の区間なら、「ベータ分布:範囲が既知の場合」にその区間を入力して、当てはめ直します。
「Excelファイルから取り込み」は、AとBの有無にかかわらず、=BETA.INV(RAND(), alpha, beta) をベータ分布の入力に変換します。アドイン向けのモデルは、RiskBeta、RiskBetaGeneral、VoseBeta、PsiBeta から変換できます。
よくある質問
Excelでベータ分布の乱数を作るには?
=BETA.INV(RAND(), alpha, beta) を使います。たとえば平均が80.0%の割合なら =BETA.INV(RAND(), 8, 2) です。別の区間で引くには、4番目と5番目の引数に下限と上限を加えます。
アルファとベータは何を表しますか?
2つの比が中心を、合計が確実さを決めます。平均はα / (α + β)で、α + βが大きいほど、分布は細くなります。α = βなら50%を中心に左右対称で、α = β = 1なら0〜1の一様分布です。
平均と標準偏差から、アルファとベータはどう決めますか?
k = mean × (1 − mean) / sd² − 1 を計算し、α = mean × k、β = (1 − mean) × k とします。平均0.8、標準偏差0.1なら、k = 15、α = 12、β = 3です。標準偏差は√(mean × (1 − mean))より小さくなければなりません。そうでないと、該当するベータ分布は存在しません。
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