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P50・P80・P90の意味と、予算を組む水準の選び方

ガイド · 2026年10月更新

P50、P80、P90は、シミュレーション結果の50%、80%、90%がそれ以下に収まる値です。建築プロジェクトの例(USD千)では、総コストのP50は2,776、P80は2,879、P90は2,937です。つまり、P80で組んだ予算は5回に1回、P90で組んだ予算は10回に1回超過します。

この例でP80に予算を組むと、基準見積もり2,620に対するコンティンジェンシーは259です。どの水準で確保するかは、超過をどのくらいの頻度まで許容するかの選択で、水準を上げるほど、信頼水準1ポイントあたりのコストは増えます。見るべきなのは、部分のパーセンタイルの合計ではなく、合計のパーセンタイルです。6つのコスト項目のP80を足すと2,843ですが、リスクイベントを含めない6つの項目の合計のP80は2,756です。

P50、P80、P90とは

モンテカルロシミュレーションは、不確実な入力の範囲から乱数で値を引き、モデルを何千回も再計算して、毎回の結果を記録します。このページの例は建築プロジェクトです。コスト項目が6つあり、それぞれ最小・最頻・最大で決まるPERT分布です。起きるかどうかわからないリスクイベントも4つあります。これを5,000回シミュレーションしました。

5,000回分の総コストを低い順に並べます。P80(80パーセンタイル)は、リストの80%の位置にある値で、結果の80%がそれ以下、20%がそれより上です。つまりP80を超える結果は5回に1回、P90を超える結果は10回に1回で、中央値のP50は結果を半分に分けます。隣り合う2つの結果の間は直線で補間し、定義はExcelの PERCENTILE.INC と同じです。

建築プロジェクトの総コスト(USD千):シミュレーション結果5,000回
水準総コストこの値以下の結果この値を超える結果
P102,64410.0%90.0%
P502,77650.0%50.0%
P802,87980.0%20.0%
P902,93790.0%10.0%
P80を超える結果総コスト5,000回分のシミュレーション結果のヒストグラム。P80の2,879を超える1,000件(20.0%)を強調表示し、P50の2,776を点線で示しています。2,6002,8003,0003,200P50 2,776P80 2,879
各棒はシミュレーション結果の件数を表します。P80を超える強調表示の棒に全体の20.0%が入り、P50の両側には全結果の半数ずつがあります。

この実行では、5,000回のうちP80の2,879を超えたのは、ちょうど1,000件(20.0%)でした。

P80は「80%の信頼水準」と呼ばれることがよくあります。ただし、これはモデルについての数字で、将来を言い当てるものではありません。入力した範囲とリスクから生まれうる結果のうち80%、という意味です。リスクが抜けていたり範囲を狭くしすぎたりすると、どのPレベル(P50やP80などの水準)も楽観的になります。統計的な信頼区間でもありません。結果がどこに散らばるかを示すだけで、ある数値をどれだけ精密に推定できたかは示しません。

数値の向きに注意してください。このページとxellstormでは、P90は結果の90%がそれ以下に収まる値で、コストなら高い側の値です。石油・ガスの埋蔵量の推定は逆の慣習で、P90は90%の確率で上回る量を指します。数値を比べる前に、レポートがどちらの慣習なのかを確認してください。

S字カーブからPレベルを読み取る

S字カーブ(累積確率曲線)は、横軸の値に対して、その値以下になる結果の割合を縦軸にとったグラフです。Pレベルを読み取るには、その割合の位置からカーブまで横に進み、そこから下に降りて値を読みます。80%の位置から進むとP80で、2,879です。逆向きに読むなら、値の位置からカーブまで上がって横に進み、その値以下に収まる確率を読みます。最頻コストの合計である基準見積もり2,620は、カーブとわずか5.8%の位置で交わります。つまりおよそP6にあたり、結果の94.2%はそれより高いコストになります。

S字カーブからPレベルを読み取る総コストのS字カーブ:P10は2,644、P50は2,776、P80は2,879、P90は2,937。点線のガイドは80%の位置からカーブへ水平に進み、そこから下ってP80に達します。P10からP90までの帯の幅は293です。基準見積もりの2,620は、カーブの5.8%の位置にあります。基準 2,62080%0%50%100%2,6002,8003,0003,200P10 2,644P50 2,776P80 2,879P90 2,937
80%の位置からカーブへ水平に進み、そこから下るとP80です。P10からP90までの帯には、中央の80%の結果が入り、幅は293です。基準見積もりは、カーブのわずか5.8%の位置にあります。

xellstormでは、「Results」ステップでS字カーブにカーソルを合わせる(スマートフォンではタップする)と、ポインター位置の値以下に収まる確率が表示されます。パーセンタイル表にはP1、P5、P10、P25、P50、P75、P80、P90、P95、P99が並び、上部の主要な数値にはP90が出ます。高い方が良い場合は、代わりにP10が出ます。「Good when」の設定、「gap < 0.4」のような目標、Profitのような名前から判断します。

パーセンタイル表のP80の行が、このページのP80です。主要な数値の下にある確率ボックスは、逆の問いに答えます。<= を選んで予算を入力すると、その額以下に収まる確率が表示されます。結果ブックのTrialsシートには全試行が並ぶので、出力の列に =PERCENTILE.INC を使えば、ほかの水準も求められます。

ばらつき:P90−P10とP90−P50

2つのPレベルの間隔は、結果の不確実さを、結果と同じ単位で表します。P10からP90の間には、中央の80%の結果が入ります。建築プロジェクトでは2,644から2,937で、幅は293、P50の10.5%です。上のS字カーブの網掛けの帯がこの範囲です。

P50の上側と下側は、同じ長さになるとは限りません。P90−P50(10回に1回の悪い結果が、中央値からどれだけ離れているか)は、ここでは161で、P50−P10は131です。コストは下振れより上振れの余地が大きく、上側が長くなるので、P50を中心にした対称な±の範囲では表せません。

P50、P80、P90でのコンティンジェンシー

コンティンジェンシーとは、選んだPレベルに届かせるために、基準見積もりに上乗せする額です。コンティンジェンシー=Pレベル−基準見積もり。建築プロジェクト(基準見積もり2,620)では次のとおりです。

各水準でのコンティンジェンシー(USD千)
予算の水準予算コンティンジェンシーそれ以上のコストになる結果
P502,77615650.0%
P802,87925920.0%
P902,93731710.0%

P80のコンティンジェンシー259は、基準見積もりの9.9%にあたります。この割合は、このプロジェクトの範囲とリスクから出た結果で、一般的な決まりではありません。範囲が広い、あるいはリスクが大きいプロジェクトにはもっと必要になりますが、一律の割合ではそれが反映されません。同じ読み方は時間にも使えます。このプロジェクトのP80の完了は60.7週です(スケジュールリスク分析を参照)。リスク登録簿も同様で、予備費は損失合計そのもののPレベルで決めます。

どの水準で予算を組むか

どの予算にも通用する唯一のPレベルはありません。水準を選ぶことは、超過をどのくらいの頻度まで許容するかを決めることです。P50の予算は結果の半数で、P80は5回に1回、P90は10回に1回超過します。判断材料は次のとおりです。

パーセンタイルは足し合わせられない

部分からP80の予算を組みたくなるものです。各コスト項目のP80を足し合わせる方法ですが、その結果は何のP80でもありません。建築プロジェクトの6つのコスト項目について、各項目のパーセンタイルと、同じ5,000回の試行から求めた合計のパーセンタイルを並べます。

6つのコスト項目(USD千)
水準項目のパーセンタイルの合算項目の合計のパーセンタイル差
P102,4772,596−119
P502,6752,687−12
P802,8432,756+87
P902,9312,791+140
平均2,6922,6920
パーセンタイルの合算と、合計のパーセンタイルの比較6つのコスト項目について:P10の合算は2,477、合計のP10は2,596。P50の合算は2,675、合計のP50は2,687。P80の合算は2,843、合計のP80は2,756。P90の合算は2,931、合計のP90は2,791。2,4002,6002,8003,000項目のパーセンタイルの合算合計のパーセンタイルP102,4772,596P502,6752,687P802,8432,756P902,9312,791
赤:各項目のP10、P50、P80、P90を合算した値。青:同じ試行から求めた、6つの項目の合計の同じパーセンタイル。合算したパーセンタイルは、合計のパーセンタイルよりはるかに広く散らばります。

項目のP80を足すと2,843で、合計のP80(2,756)より87多くなります。項目の合計が2,843を超えるのは結果のわずか2.9%なので、この数値は合計のおよそP97で、P80ではありません。P50を足すと逆向きにずれ、足した値が2,675、合計のP50が2,687です。P10を足した2,477は、5,000回のシミュレーションで得た合計のどれよりも低くなります。足し合わせられるのは平均だけで、どちらの方法でも2,692です。

P80を足すとずれるのは、項目が独立に変動するためです。P80を足すことは、全項目が同時にそれぞれのP80になる場合に備えて予算を組むことですが、独立した6つの項目がそろってP80以上になる確率は0.2⁶、つまり15,625分の1です。たいていは、高い項目があっても、ほかの項目が中央付近かそれより低くなって相殺します。最悪ケースの公差積み上げがきわめて保守的になるのと同じ効果です。P50を足して不足するのは別の理由です。各項目の範囲は、最も可能性の高いコストより上に伸びる幅の方が下より大きく、そうした偏りのある項目を合計した中央値は、中央値の合計より上、つまり平均に近い位置になりやすいのです。パーセンタイルが確実に足し合わせられるのは、部分が完全に連動する場合、つまりどれか1つがそれ自身のP80にあるとき、ほかもつねにそれぞれのP80にある場合だけです。

リスクイベントを入れると、差はさらに開きます。プロジェクトの合計には4つのリスクイベントも含まれ、項目のP80を足してもその分は入りません。2,843は、合計のP80(2,879)より36低く、合計のおよそP71にすぎません。リスク自身のパーセンタイルを足しても補えません。地盤条件は結果の25%で発生し、起きた場合のコストは150ですが、P50は0、P80は発生時のコストそのままの150です。P50を足すと一度も起きないものとして、P80を足すと必ず起きるものとして数えることになります。合計のパーセンタイルは、シミュレーションから読み取ってください。ポートフォリオも同じで、複数のプロジェクトを合わせたP80は、それぞれのP80の合計ではありません。

よくある質問

P80とは何ですか?

P80は、シミュレーション結果の80%がそれ以下に収まる値で、超過するのは5回に1回です。建築プロジェクトの例では、P80の予算2,879(USD千)は、モデルの前提のもとでは結果の80%で足り、残りの20%では足りません。

P50は平均と同じですか?

P50は平均ではなく中央値で、結果の半分がそれより下、半分が上にあります。平均は全結果を足して件数で割るので、コストの高い結果が裾にあると引き上げられます。建築プロジェクトの例では、総コストの平均は2,785で、P50の2,776を上回ります(USD千)。部分の平均を足せば合計の平均になりますが、パーセンタイルは足せません。

P90は常に高い方の値を指しますか?

P90が高い方の値になるのは、このページとxellstormの慣習(結果の90%がそれ以下に収まる値)の場合だけです。石油・ガスの埋蔵量の推定は逆で、P90は90%の確率で上回る量、つまり低い方の推定値です。収益のように高い方が良い場合、慎重な数値はP10になります。そのためxellstormは、高い方が良い場合にP90の代わりにP10を表示します。「< 0.4」のような目標や、Profitのような名前があれば、自動で切り替わります。

P90には何回の試行が必要ですか?

ほとんどのコストやスケジュールの結果では、同じ精度を得るのに、P50よりP90の方が多くの試行を要します。P90の近くにある結果が少ないためです。建築プロジェクトの例の5,000回の試行から、分布に依存しない95%区間(昇順に並べた4,458番目から4,542番目の結果)を取ると、試行を無制限に増やしたときのP90は2,931から2,947の間に入ります。幅は約±8で、P80は±5、P50は±4です(USD千)。P80とP90の差の58に比べれば小さいので、この試行回数でも水準の違いは見分けられます。この区間は、引きが独立であることを前提にしています。xellstormの既定のラテンハイパーキューブサンプリングは引きをより均等に散らすので、たいてい少なくとも同程度の精度になります。

ワークパッケージやプロジェクトのP80を足し合わせてもよいですか?

ワークパッケージやプロジェクトのP80は、単純には足し合わせられません。パーセンタイルは足し算が成り立たないためです。建築プロジェクトの例では、6つのコスト項目のP80を足すと2,843(USD千)ですが、合計のP80は2,756です。合計がこの足した額を超えるのは、結果のわずか2.9%です。部分をまとめてシミュレーションし、合計のP80を読み取ってください。足せるのは平均だけです。

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