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トルネード図と感度分析の解説

ガイド · 2026年10月更新

トルネード図は、モデルの不確かな入力を、それぞれが単独で結果をどれだけ動かすかで並べた図です。建築の見積もりでは、地盤条件リスクが総コストを150(USD千単位)動かします。これはどのコスト項目よりも大きく、次に躯体が117で続きます。xellstormでは、各入力を既定でP10からP90まで動かし、ほかの入力はすべて中央値のままにします。

各棒は、ほかの入力を基準値に保ったまま、その入力を低い値と高い値にしたときの結果を示します。最も幅の広い棒を一番上に置くので、漏斗のような形になります。トルネード図が示すのは、各入力が単独で何をするかです。分散寄与率(シミュレーションした試行から求めます)は、実際のばらつきのうち、各入力がどれだけを説明するかを示します。

トルネード図が示すもの

感度分析で知りたいのは、結果がどの入力に最も左右されるかです。トルネード図は、入力を1つずつ調べて答えを出します。不確かな入力をすべて基準値にし、1つの入力を低い値、次に高い値に動かして結果を記録し、入力を元に戻す、という手順です。各入力には、低い値での結果から高い値での結果まで横棒が1本でき、棒は幅の広い順に上から並びます。

xellstormでは、低い値と高い値は、既定で各入力のP10とP90です。引いた値が10%の確率で下回る値と、90%の確率で下回る値にあたります。基準値は中央値のP50です。入力がk個なら、モデルの再計算は2k + 1回になります。建築プロジェクトのサンプルの17個の入力では35回です。コスト見積もりには6個のコスト項目(それぞれ3点のPERT範囲)と、起きればそのコストが加わり、起きなければ加わらない4個のリスクイベントがあり、残りの入力はスケジュールの所要期間です。図に示すのは総コストです。

総コストのトルネード図建築の見積もりの各入力を、P10からP90まで動かしたとき(ほかの入力はすべて中央値)。基準(すべての入力が中央値)は2,675です。大きい順:地盤条件+150、躯体−50 / +67、MEP−51 / +65、設計変更+90、仕上げ−35 / +43、基礎−32 / +43、納入遅延+60、悪天候+40。最も短い2本の棒、設備機器と敷地工事(それぞれ−15 / +19)は省いています。2,6502,7002,7502,800地盤条件+150躯体−50 / +67MEP−51 / +65設計変更+90仕上げ−35 / +43基礎−32 / +43納入遅延+60悪天候+40基準 2,675
総コスト(USD千単位)。枠線の部分:その入力がP10のとき、塗りの部分:P90のとき。ほかの入力はすべて中央値です。数値は基準2,675からの変化です。表示していないもの:設備機器と敷地工事(それぞれ−15 / +19)と、コストを変えない7件のスケジュール所要期間。

トルネード図の読み方

基準線は、すべての入力を中央値にしたときの結果で、2,675です。シミュレーションの平均(2,785)でも、シミュレーションの中央値(2,776)でもありません。ここでは、各リスクイベントの確率が50%未満なので、その中央値は「起きない」となり、基準にはどのリスクも含まれません。

棒の長さは、入力のP10とP90の間で結果がどれだけ動くかです。一番上の棒、地盤条件リスクは、総コストを2,675から2,825に動かします。

左右非対称の棒は、偏った入力を示します。躯体は、P10で総コストを50下げ、P90で67上げます。範囲が、最も可能性の高いコストより上に長く伸びているためです。どのコスト項目の棒も、右側が長くなります。

片側だけの棒はリスクイベントです。リスクはP10では起きず、それが基準です。P90では起きるので、棒はそのコスト全体で、すべて右側にあります。

棒がないのは、その入力がこの結果を動かさないということです。7件のスケジュール所要期間が変えるのは完了日で、コストではありません。

棒は足し合わせても合計になりません。すべて合わせると794に及び、シミュレーションした総コストのP10(2,644)からP90(2,937)までの距離293の2倍を超えます。入力が同時にP90に達することはまれなので、トルネード図からわかるのはどの入力が重要かで、結果の範囲がどれだけ広いかではありません。それはシミュレーションで求めます。

トルネード図が見落とすもの

トルネード図は、入力を1つずつ動かし、ほかを中央値に固定します。このため、2種類のモデルでは誤解のもとになります。

起きないかもしれない事象。リスクイベントの棒は、確率が小さくても大きくても、低いパーセンタイルでオフ、高いパーセンタイルでオンであるかぎり、そのコスト全体の長さになります。そして、棒が表示されるかどうかはパーセンタイルで決まります。トルネード図をP10〜P90からP25〜P75に切り替えると、P10〜P90で最も幅の広かった地盤条件リスク(確率25%)の棒はゼロに縮み、納入遅延(確率20%)の棒も同様にゼロになります。どちらもP75では起きないからです。すると設計変更リスクが90で一番上になります。プロジェクトは何も変わっておらず、変わったのはパーセンタイルだけです。

一緒に効く入力。スケジュールでは、MEP(機械・電気・配管)と仕上げが躯体の後で並行して進み、完了は長い方を待ちます。ExcelファイルではMAXに当たる部分です。仕上げを中央値に固定すると、常にMEPがペースを決めるので、トルネード図でのMEPの棒は2.95週間で、設計や基礎とまったく同じ長さです。この3つの範囲は同じ形で、最も可能性の高い所要期間より2週間下、4週間上まで伸びます。仕上げはほとんど現れません。P90の12.27週間が、MEPの中央値12.25週間とほとんど変わらず、棒は0.02週間にしかならないからです。

シミュレーションでは、2つの工種が同時にばらつき、試行の15.0%では仕上げがMEPより長くなります。その試行では、完了は仕上げに従い、MEP自身の所要期間は影響しません。このため、MEPが完了週のばらつきを説明する割合は、常に経路上にある設計や基礎より小さくなります。トルネード図には、これが見えません。

完了週:4つのアクティビティ
アクティビティトルネードの棒(週)分散寄与率
設計2.9514.4%
基礎2.9513.9%
MEP(並行)2.9510.8%
仕上げ(並行)0.020.4%

同じ効果は、結果が複数の入力のうち大きい方または小さい方を取るときにいつも現れます。スケジュールで合流する並行パスや、最初の部品の故障で止まる直列系などです。パスの合流がプロジェクトを遅らせる理由は、スケジュールリスク分析で解説しています。

トルネード図と順位相関・分散寄与率

xellstormは、すべての入力が同時に変動するシミュレーションの試行からも感度を測ります。どちらの指標も、値ではなく順位(各試行の低い方から高い方への位置)を使うので、直線でも曲線でも、一方向に進む関係なら使えます。

順位相関
入力と結果のスピアマンの順位相関を、全試行で求めたものです。入力が上がるたびに結果が必ず上がるなら+1、必ず下がるなら−1、一貫した向きがなければ0に近い値になります。総コストでは、地盤条件リスクは0.55です。
分散寄与率
結果のばらつきのうち、各入力に伴う割合です。結果の順位を入力の順位に回帰して求め、標準化係数の2乗を、合計100%になる割合として表します。
総コスト(USD千単位):トルネードの棒と試行に基づく指標(トルネード図の順)
入力トルネードの棒分散寄与率順位相関
地盤条件(リスク)15032.9%+0.55
躯体11714.9%+0.37
MEP11614.3%+0.36
設計変更(リスク)9015.8%+0.39
仕上げ786.6%+0.24
基礎756.1%+0.26
納入遅延(リスク)604.5%+0.21
悪天候(リスク)402.5%+0.16
設備機器341.1%+0.10
敷地工事341.2%+0.09

どちらも地盤条件リスクを1位にし、ほとんどの入力は順位が同じか1つ動くだけです。順位より、割合の方が多くを語ります。地盤条件リスクの棒は躯体の棒の1.28倍の長さしかないのに、分散への寄与は32.9%で、およそ2倍にあたります。分散は平均からの距離の2乗の平均で、リスクのコストは全か無かで決まります。どの試行でも、ゼロかコスト全体かで、つまり棒の両端のどちらかです。一方、コスト項目の値は最も可能性の高い値のまわりに集まります。リスクの棒は、確率が10%から90%の間なら確率にかかわらずコスト全体の長さですが、分散の割合は50%になるまで確率とともに大きくなります。

リスクイベントのうち最も起こりやすい設計変更リスク(35%)は、棒が90と、躯体とMEPの117と116より短いのに、分散の割合はほぼ同じです。範囲と確率から理論的に求めると(PERT範囲の分散は(平均 − 最小)×(最大 − 平均)/ 7、リスクの分散はp × (1 − p) ×(コストの2乗))、躯体は15.3%、MEPは14.8%、設計変更リスクは14.4%です。順位から求めるこの実行の表では、設計変更リスクが両方より上に出ます。これほど近い割合は実行ごとに順序が入れ替わるので、1〜2ポイント以内の差は同順位と見てください。

2つは、答える問いが違います。トルネード図は「この入力がP10またはP90になったらどうなるか」に答えるもので、ランダムな要素はありません。分散寄与率は「結果のばらつきを説明するのはどの入力か」に答えます。試行から求めるので、確率や、上のMEPのように入力が同時に働く影響も反映されます。各入力が結果を一方向に押すと仮定しているため、順位に引いた直線が結果によく当てはまらないときは、アプリがそのことを伝え、トルネード図を案内します。総コストでは、当てはまりは良好です。

スパイダーチャート

スパイダーチャートは、各入力を2点ではなく複数のパーセンタイルに動かし(ほかの入力は中央値のまま)、結果を線で描きます。xellstormはP5、P10、P25、P50、P75、P90、P95を使い、このモデルでは120回の評価です。傾きが急な線ほど重要で、曲がった線は比例しない効果を示します。各線のP10とP90の点が、トルネード図の棒の両端です。

完了週のスパイダーチャートほかの入力をすべて中央値にして、1つの入力をP5からP95まで動かしたときの完了週(基準は56.9週目)。MEPは完了週を全域で動かし、55.3週目から58.9週目に変わります。仕上げは、P75までは完了週を変えず、P90で0.02週間、P95で0.52週間加わります。56575859P10P25P50P75P90基準 56.9MEP仕上げ
1つの入力をP5、P10、P25、P50、P75、P90、P95に動かしたときの完了週。ほかの入力はすべて中央値です。点線は基準(56.9週目)で、仕上げの線はP75までここにとどまります。点:仕上げ、破線:MEP。

仕上げの線は、P75(11.37週間、MEPの中央値12.25週間より短い)までは基準の上にとどまり、その後で上がります。P90では0.02週間、P95では0.52週間遅くなります。トルネード図が示すのは両端の点だけですが、スパイダーチャートなら、範囲のどこから入力が効き始めるかがわかります。

Excelでトルネード図を作る方法

  1. 不確かな入力を一覧にし、それぞれに低い値、基準値、高い値を用意します。xellstormに合わせるなら、P10、中央値、P90を使います。最小がB2、最頻値がC2、最大がD2にあるPERT範囲では、P10は=BETA.INV(0.1, 1+4*(C2-B2)/(D2-B2), 1+4*(D2-C2)/(D2-B2), B2, D2)で、0.1を0.5や0.9にすると、中央値やP90になります(ExcelでのPERT分布を参照)。躯体(最小760、最頻820、最大1,010)では、=BETA.INV(0.1, 1+4*(820-760)/(1010-760), 1+4*(1010-820)/(1010-760), 760, 1010)がおよそ787を返します。中央値はおよそ837、P90はおよそ904で、これがxellstormの使う値です。リスクイベントは、確率が10%から90%の間なら、P10で0、P90で1です。確率が50%未満なら、中央値で0です。
  2. すべての入力を基準値にして、結果(基準)を控えます。
  3. 1つの入力を低い値にして結果を控え、次に高い値にして控え、元に戻します。これをすべての入力で繰り返します。入力セルを列の入力セルにした1変数のデータテーブル(「データ」>「What-If分析」>「データテーブル」)なら、入力1つ分の2回の再計算を一度に済ませられます。
  4. 各入力の変動幅(高い側の結果 − 低い側の結果)を計算し、大きい順に並べ替えます。
  5. Excelにトルネード図のグラフはありません。「集合横棒」グラフを挿入し、低い結果から基準を引いた系列と、高い結果から基準を引いた系列の2つを入れて、「系列の重なり」を100%にします。縦軸では「軸を反転する」にチェックして最も幅の広い棒を上に置き、ラベルの位置を「下端/左」にして、名前が棒の左側に来るようにします。

モデルや範囲が変わるたびに表を作り直す必要があり、答えられるのも「もしこうなったら」という問いだけです。各結果がどのくらい起こりやすいか、各入力がばらつきのどれだけを説明するかを知るには、シミュレーションが必要です。数式と、ツールがモデルを実行するときに何が変わるかは、Excelでのモンテカルロシミュレーションをご覧ください。

xellstormのトルネード図

実行後、「Results」ステップには、出力ごとに次のものが表示されます。トルネード図(「Range」メニューでP5〜P95、P10〜P90、P25〜P75を選べます)、各入力の順位相関を横に添えた分散寄与率、そしてスパイダーチャートです。トルネード図とスパイダーチャートは、パーセンタイルでだけモデルを評価し、乱数は引きません。Excelファイルに独自のRAND()セルがある場合も、どの評価でも同じ乱数を使うので、棒は入力の影響だけを示します。HTMLレポート、PowerPointのスライド、結果ブックにもトルネード図が入ります。

  1. 建築のサンプルをxellstormで開いて実行します。インストールは不要で、Excelファイルはブラウザー内で計算します。
  2. 「Results」ステップでは、総コストのトルネード図に、上のグラフの棒に加えて、最も短い2本が表示されます。「Range」をP25〜P75にすると、地盤条件リスクは一番上から下の方の±0に落ち、設計変更リスクがその場所を占めます。
  3. 完了週に切り替えて、MEPの棒を、分散寄与率での割合と見比べます。
  4. 続いてお手元のExcelファイルを開き、モデルマップで不確かな入力を選んで、どの入力が結果を左右するかを確かめます。

よくある質問

トルネード図とスパイダーチャートの違いは何ですか?

トルネード図は各入力を2つのパーセンタイルで示し、スパイダーチャートは複数のパーセンタイルで示します。どちらも、ほかの入力を中央値にしたまま入力を1つずつ動かすので、スパイダーのP10とP90の点がトルネードの棒の両端になります。その間の点は、効果が着実に大きくなるのか、範囲の一部だけで大きくなるのかを示します。

トルネード図の基準が平均でないのはなぜですか?

トルネード図の基準は、すべての入力を中央値にしたときの結果で、再計算1回分です。一方、平均は、シミュレーションしたすべての結果の平均です。入力が偏っているときや、確率が50%未満のリスクイベント(基準には含まれません)があるときは、両者が異なります。建築のサンプルでは、基準は2,675、シミュレーションの平均は2,785(USD千単位)です。

トルネード図にはどのパーセンタイルを使うべきですか?

トルネード図で最もよく使うのはP10とP90で、各入力の範囲の中央80%です。P5〜P95にすると棒は長くなり、P25〜P75では短くなります。棒の順序は範囲によって変わることがあり、リスクイベントでは特にそうです。P25〜P75では、建築のサンプルで最も幅の広い棒(確率25%のリスク)はゼロに縮みます。どの範囲を使うにしても、図にその範囲を明記してください。xellstormは、図の上とレポートに範囲を書きます。

トルネード図にはモンテカルロシミュレーションが必要ですか?

トルネード図にシミュレーションは不要です。入力がk個なら、各入力を選んだ値にしたモデルの再計算が2k + 1回で済みます。ただし、各入力の範囲は必要です。シミュレーションが加えるのは、トルネード図が示せないもの、つまり各結果がどのくらい起こりやすいかと、すべての入力が一緒に変動するとき各入力がばらつきのどれだけを説明するかです。

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