xellstorm 学習センター
JA
アプリを開く

再保険レイヤーで、悪い年はどこまで抑えられますか?

例題 · 超過損害額再保険 · 2026年11月更新

1年を損害1件ずつシミュレーションし、大口損害には1件ごとにレイヤーを適用して、同じシミュレーションの年同士で再保険スキームを比べます。説明用に想定したこの財物保険ポートフォリオでは、再保険なしの場合、10,000年のうち14.6%が赤字になり、100年に1度の年の収支は−24,026です。1件あたり2,000の保有額を超える部分に、18,000のレイヤーを付けると、赤字の年は8.0%、100年に1度の年の収支は−6,668です。レイヤーのコストは、平均的な年で1,518です。

1年の損害にレイヤーがどう効くかポートフォリオは毎年、保険料50,000を受け取り、その30%を事業費として支払います。損害は小口が年に約300件、大口が約4件です。レイヤーは大口損害1件ごとに、2,000を超え20,000までの部分を支払い、再保険料は5,150です。図のシミュレーションの1年では、4件の大口損害(15,655、1,522、1,583、4,991)に対してレイヤーから16,646を回収し、収支は再保険前が7,595の赤字、再保険後が3,901の黒字です。10,000年のうち赤字になる年は、レイヤーなしで14.6%、レイヤーありで8.0%です。1年の収支保険料50,000− 事業費保険料の30%− 小口損害年に約300件、1件1,000未満− 大口損害年に約4件、1件1,000〜40,000+ 再保険回収額1件ごとに2,000超〜20,000の部分− 再保険料5,150シミュレーションした1年 · 大口損害15,6551,5221,5834,991保有額2,000保有再保険会社が負担14.6%レイヤーなしで赤字になる年8.0%レイヤーあり 1年の損害にレイヤーがどう効くかポートフォリオは毎年、保険料50,000を受け取り、その30%を事業費として支払います。損害は小口が年に約300件、大口が約4件です。レイヤーは大口損害1件ごとに、2,000を超え20,000までの部分を支払い、再保険料は5,150です。図のシミュレーションの1年では、4件の大口損害(15,655、1,522、1,583、4,991)に対してレイヤーから16,646を回収し、収支は再保険前が7,595の赤字、再保険後が3,901の黒字です。10,000年のうち赤字になる年は、レイヤーなしで14.6%、レイヤーありで8.0%です。1年の収支保険料50,000− 事業費保険料の30%− 小口損害年に約300件、1件1,000未満− 大口損害年に約4件、1件1,000〜40,000+ 再保険回収額1件ごとに2,000超〜20,000の部分− 再保険料5,150シミュレーションした1年 · 大口損害15,6551,5221,5834,991保有額2,000保有再保険会社が負担14.6%レイヤーなしで赤字になる年8.0%レイヤーあり
モデルの全体像(USD千単位):1年の損害のうち、小口はまとめて1つの合計、大口は1件ずつ扱います。レイヤーは、大口損害それぞれの保有額を超える部分を引き受けます。

多数の小口損害は合計すると安定しており、悪い年をつくるのは少数の大口損害です。モデルは小口・大口の両方をシミュレーションし、大口損害1件ごとにレイヤーを適用したうえで、レイヤーなしの場合とほかの2つの保有額を、同じ損害で比べます。金額はUSD千単位です。

モデルの概要

Assumptionsシートには、ポートフォリオの前提として、保険料50,000、保険料の30%にあたる事業費、損害の前提、レイヤーの条件が入っており、保有額ごとの再保険会社の見積もりも並んでいます。レイヤーは図では「18,000 xs 2,000」と表記し、2,000を超える18,000のレイヤーを表します。Claimsシートは1年分です。B3が小口損害の合計、B4が大口損害の件数で、7〜21行目には起こりうる大口損害を1件1行で置いています。各行の損害は、行の番号がその年の件数以内のときに発生します(C7=IF(A7<=$B$4,1,0))。

E列は、各損害のうち再保険会社が負担する部分、つまり保有額を超えてカバーの上限までの部分です(E7=IF(Assumptions!$B$14=1,MIN(MAX(D7-Assumptions!$B$15,0),Assumptions!$B$16-Assumptions!$B$15),0))。Resultシートでは、保険料から事業費と損害額を引いた額が再保険前の収支(B7)です。そこから再保険料を引き、再保険回収額を足すと再保険後の収支(B10)になり、目標はこれがゼロ未満かどうかを判定します。

小口損害はまとめて合計、大口損害は1件ずつ

Claims!B3は、頻度×規模の入力(複合分布)です。試行ごとに、平均300のポアソン分布から件数を引き、その件数だけ損害額を対数正規分布(平均60、標準偏差90、しきい値1,000で切断)から引いて合計します。数百件の小口損害はばらつきが打ち消し合うので、合計のP5〜P95は14,972〜20,535で、平均17,657の近くに収まります。

大口損害は件数が少なく、レイヤーは1件ごとに適用するので、1件ずつ別のセルに置きます。Claims!B4は平均4のポアソン分布に従う件数で、シートの行数に合わせて15件までに制限しています。この平均なら、大口損害が15件を超える年の確率は10,000分の1未満です。B7:B21の各損害額は、1,000以上の範囲で形状1.5のパレート分布に従い、保険金額の最大値40,000で切断しているので、それより大きな損害はありません。形状パラメーターが小さいほど裾が重く、大口損害の多くはしきい値の近くにとどまる一方で、ごく一部ははるかに大きくなります。

再保険前で赤字になる年は、大口損害がかさんだ年です。そうした年の大口損害の合計は平均25,210で、ほかの年は7,609です。一方、小口損害の合計はほとんど変わりません。

結果を読む

再保険なしの収支再保険なしの場合の、シミュレーションした10,000年の保険引受収支のヒストグラム:14.6%がゼロ未満、平均7,166、100年に1度の年は−24,026(USD千単位)。−60,000−40,000−20,000020,000100年に1度赤字の年14.6%
再保険なしの収支(USD千単位)。赤い棒は赤字の年、点線は100年に1度の年です。
18,000 xs 2,000のレイヤーありの収支18,000 xs 2,000のレイヤーありの場合の、シミュレーションした10,000年の保険引受収支のヒストグラム:8.0%がゼロ未満、平均5,647、100年に1度の年は−6,668(USD千単位)。−60,000−40,000−20,000020,000100年に1度赤字の年8.0%
18,000 xs 2,000のレイヤーありの収支(USD千単位)。赤い棒は赤字の年、点線は100年に1度の年です。

再保険なしでは、平均的な年は7,166の黒字で、61.1%の年はこれを上回ります。残りの年はこれを下回り、なかにははるかに悪い年もあります。14.6%の年が赤字になり、100年に1度の年の収支は−24,026です。レイヤーを付けると、赤字の年は8.0%、100年に1度の年の収支は−6,668、200年に1度の年は−10,137です。100年に1度の年とは、シミュレーションした100年のうち、これを下回るのは1年だけという収支(1パーセンタイル)のことで、200年に1度の年は0.5パーセンタイルです。

レイヤーのコスト

保有額2,000を超えるレイヤーに対する再保険会社の見積もりは5,150で、平均的な年の回収額は3,632です。Excelファイルの見積もりは、どれも期待回収額の約1.4倍です。再保険料は、再保険会社の経費、保有する資本のコスト、利益マージンも賄うからです。差額の1,518が平均的な年のレイヤーのコストで、平均収支は7,166から5,647に下がります。その代わり、100年に1度の年の収支は17,358改善します。

保有額はいくらにするか?

同じ10,000年のシミュレーションで比べた4つの再保険スキーム(USD千単位)
再保険スキーム再保険料期待回収額平均収支赤字の年100年に1度200年に1度
再保険なし007,16614.6%−24,026−30,152
保有額5,0002,2501,5716,48612.0%−10,610−14,037
保有額2,000(基準)5,1503,6325,6478.0%−6,668−10,137
保有額1,0008,4005,9744,7405.2%−5,537−9,254

保有額を下げるほど、コストは増え、抑えられる損失も大きくなりますが、効果は逓減します。レイヤーなしから保有額2,000にすると、年1,518のコストで、100年に1度の年の収支が17,358改善します。さらに保有額を1,000まで下げると、コストは年908増え、改善の上積みは1,131です。

基準のレイヤーのもとで最悪1%に入る年のうち、大半(89%)には、カバーの上限20,000を超える損害があります。上限を超えた部分は保険会社の負担となり、保有額を下げてもカバーされません。上限を引き上げればカバーできますが、その場合の再保険料の見積もりは、この例にはありません。そうした損害がある年は、全体の2.8%にすぎません。そのため、裾をシミュレーションするまでは、上限が十分に高いように見えることがあります。

どのスキームも同じシミュレーションの損害で比べているので、差は乱数の運不運ではなく、レイヤーの違いから生じています。

1件ごとのレイヤーでカバーできないもの

このレイヤーは損害1件ごとに支払います。台風で数百件の物件が一度に被災すると、数百件の損害が生じますが、1件ずつは保有額を下回るので、1件ごとのレイヤーからは何も支払われません。こうした損害には、1回の災害(イベント)単位で支払う巨大災害カバー(キャットXL)が必要です。このモデルには巨大災害のイベントがなく、復元(リインステートメント)、損害額のインフレ、運用収益も含みません。損害の前提は説明用の例で、実際のポートフォリオの損害実績に当てはめたものではありません。

試してみる

  1. サンプルを開き、シード1で10,000回の試行を実行します。再保険後の収支と、その目標(ゼロ未満の年)は設定済みです。
  2. 収支のヒストグラムとパーセンタイルを確認し、再保険前の収支(Result!B7)と比べます。
  3. 保存済みの3つのシナリオを実行し、赤字の年の割合と下側のパーセンタイルを、基準のレイヤーと比べます。
  4. 自社のポートフォリオでは、損害の件数と損害額を自社の損害実績に当てはめます。1回の台風で多くの物件が同時に被災しうるなら、巨大災害のイベントも加えます。

よくある質問

平均損害率で判断しないのはなぜですか?

平均的な年からわかるのは、ポートフォリオがどれだけ稼ぐかであって、どのくらいの頻度で、どれほど大きく赤字になるかではありません。大口損害はまれで、金額のばらつきも大きいため、大半の年は平均より良く、一部の年ははるかに悪くなります。多くの年をシミュレーションすれば、その一部の年と、レイヤーがそれをどう変えるかがわかります。

再保険料が、再保険会社の支払いの期待値より高いのはなぜですか?

再保険料は、再保険会社の経費、悪い年に備えて保有する資本のコスト、利益マージンも賄うからです。レイヤーにコストに見合う価値があるのは、それで取り除ける悪い年が、手放す平均収支よりも保険会社にとって重要な場合です。シミュレーションなら、その両方を同じ単位で比べられます。

200年に1度の年の収支は、所要資本にあたりますか?

いいえ。ソルベンシー資本のモデルは、支払備金、巨大災害、市場、信用、オペレーショナルの各リスクや、保険金の支払時期も扱います。この1年の保険引受収支は、その全体像の一部です。

関連ページ

xellstormは、Excelモデル向けのブラウザー型モンテカルロシミュレーションツールです。アドインは不要で、Excelファイルがパソコンの外に出ることはありません。