ModelRiskで作ったExcelファイルをそのまま開ける、ModelRiskの代替ツール
xellstormは、Excelモデルのモンテカルロシミュレーションをブラウザーで実行します。ModelRiskで作ったExcelファイルはそのまま開け、ModelRiskの分布関数62個を、パラメーターをセルに連動させたまま読み取ります。VoseOutput、VoseSimTable、VoseXBounds、VoseAggregateMCも取り込みます。ModelRiskもExcelも不要で、Windows、macOS、Linuxで使えます。
Excelファイルは書き換えないので、モデルはこれまでどおりModelRiskで開けます。実行前に、変換したものと、変換せずに残した数式をすべて、理由とともに一覧で示します。最初に知っておきたい点が1つあります。ModelRiskはコピュラで入力を相関させますが、コピュラは変換できません。相関のあるモデルでは、相関を入力し直す必要があります。
ModelRiskとxellstormの比較
| ModelRisk | xellstorm | |
|---|---|---|
| 動作環境 | Windows版Excelの中 | Windows、macOS、Linuxのブラウザー上。ChromeとEdgeを推奨 |
| インストール | モデルを実行するすべてのパソコンにアドインが必要 | インストール不要。管理者権限も不要 |
| Excelファイル | セルにVose関数が入り、ModelRiskがないと計算できない | そのまま読み取る。xellstormは何も書き込まない |
| 同僚 | モデルを再実行するにはModelRiskが必要 | ブラウザーで開ける。レポートの閲覧者にライセンスは不要 |
| 相関 | コピュラ | 順位相関(正規コピュラまたはスチューデントのtコピュラ) |
表のModelRiskに関する記述は、ベンダーが公開しているシステム要件(2026年10月時点)にもとづいています。最新の要件は、ベンダーに確認してください。
変換できるModelRiskの関数
表は、取り込みのルール一覧からそのまま作っているので、変換できるものと完全に一致します。各関数は、その関数が表す分布に対応づけ、パラメーターはModelRiskの文書どおりに変換しています。それぞれの対応づけは、scipyの同等の分布と照合してテストしています。†は、数値のみで変換できる関数です。
| 分布 (xellstormでの名前) | ModelRisk |
|---|---|
ベルヌーイbern | VoseBernoulli |
ベータbeta | VoseBetaVoseBeta4VoseBetaSubj† |
二項binom | VoseBinomial |
Burr III(Dagum)burr | VoseDagum |
コーシーcauchy | VoseCauchy |
カイ二乗chi2 | VoseChiSq |
カイ、マクスウェルchi | VoseChiVoseMaxwell |
複合分布(頻度 × 規模)compound | VoseAggregateMC |
累積cumul | VoseCumulAVoseCumulD†VoseOgive† |
離散custom | VoseDiscreteVoseDUniform |
指数expon | VoseExponVoseExponential |
極値(最大、ガンベル)gumbel_r | VoseExtValueMax |
Ff | VoseF |
疲労寿命(バーンバウム=サンダース)fatiguelife | VoseFatigue |
ガンマ、アーランgamma | VoseGammaVoseErlang |
一般(相対重み)general | VoseRelative |
一般化パレートgenpareto | VoseGPD |
ヒストグラムhistogram | VoseHistogram |
双曲線正割hypsecant | VoseHS |
超幾何hypergeom | VoseHypergeo |
離散一様randint | VoseIntUniformVoseStepUniform† |
逆ガウスinvgauss | VoseInvGauss |
ジョンソンSBjohnsonsb | VoseJohnsonB |
ジョンソンSUjohnsonsu | VoseJohnsonU |
クマラスワミーkumaraswamy | VoseKumaraswamyVoseKumaraswamy4 |
ラプラスlaplace | VoseLaplace |
レヴィlevy | VoseLevy |
対数ロジスティックfisk | VoseLogLogistic |
ロジスティックlogistic | VoseLogistic |
対数正規lognorm | VoseLognormalVoseLognormalE |
負の二項、幾何nbinom | VoseGeometricVoseNegBinVoseNegBinomVosePolya† |
正規norm | VoseNormalVoseErf† |
パレートpareto | VosePareto |
パレートII(ロマックス)lomax | VosePareto2 |
ピアソンV(逆ガンマ)invgamma | VosePearson5 |
ピアソンVI(ベータプライム)betaprime | VosePearson6 |
PERTpert | VosePERTVoseModPERT |
ポアソンpoiss | VosePoisson |
レイリーrayleigh | VoseRayleigh |
逆数(対数一様)loguniform | VoseReciprocal |
スチューデントのtt | VoseStudentVoseStudent3† |
三角triang | VoseTriangle |
パーセンタイルによる三角trigen | VoseTriangleAlt |
一様unif | VoseUniform |
ワイブルweibull_min | VoseWeibullVoseWeibull3 |
分布は単独でも、正の乗数1つに、加算か減算のオフセットを最大1つ付けた形でもかまいません。例はVoseNormal(B1*1.1,B2)*C1+5です。引数には数値、単一セルの参照、算術式が使え、それらのセルに連動したままになります。VoseAggregateMC(n, VoseLognormalObject(mean, sd))は、1つの複合分布の入力になります。件数を引き、その件数だけ金額を足し合わせます。プロパティ関数とマーカーは次のとおりです。
| 関数 | xellstormでの扱い |
|---|---|
VoseXBounds | 切断:truncate_min、truncate_max(シフトの前) |
VosePBounds | 切断:truncate_pmin、truncate_pmax(分布のパーセンタイル) |
VoseShift | シフト:shift |
VoseInput | 名前:入力の名前 |
VoseSimTable | シミュレーションごとの値:基準の実行では固定セル、以降のシミュレーション1つにつきシナリオ1つ |
VoseOutput | 出力:指定した名前の出力 |
ModelRiskから変換できないもの
- コピュラとU引数。最後の引数がパーセンタイルの分布(
VoseNormal(0,1,0.5)など)や、コピュラで動かす分布は、理由を付けて残します。相関はxellstorm側で順位相関として、行列かペアで入力するか、過去データから推定してください。スチューデントのtコピュラを使うと、同じ順位相関でも極端な値が同時に起こりやすくなります。 - xellstormにそのまま対応する機能がない関数。ModelRiskの時系列関数と、上の表にないVose関数です。時系列は、xellstorm側で設定できます(ランダムウォーク、AR(1)、幾何ブラウン運動、平均回帰、ジャンプ拡散)。
- 取り込みでは書き換えられない数式。1つのセルに分布が複数ある場合、分布が別の関数の中や分母にある場合、演算の順序を入れ替えないと成り立たない場合です。セルを分けて、1つのセルに分布を1つずつ置いてください。
- 一部の複合分布。
VoseAggregateMCは変換できますが、免責額があるもの、規模が負になりうるもの(0で切り捨てる場合を除く)、規模が別のセルにあるものは変換できません。 - モデル以外の部分。VBAマクロ、ユーザー定義関数、他のブックへのリンクです。xellstormが開くどのExcelファイルでも同じです。
実行前に、変換できない数式が理由とともに一覧に出て、互換性チェックがxellstormの計算できないセルをすべて示します。アドインのモデルの移行方法では、1つの例を通しで取り上げ、残った数式それぞれの対処も説明します。
ModelRiskのモデルを移す手順
- Excelファイルを開く。xellstormに.xlsxまたは.xlsmのファイルをドロップします。.xlsbのファイルは、先に.xlsxとして保存してください。ファイルはブラウザーのタブ内で読み取り、計算します。
- Voseの関数を取り込む。「分布」ステップのExcelファイルから取り込みを押すと、入力、出力、シナリオになるものと、残った数式のすべてが、理由とともに一覧に出ます。
- 相関を加える。モデルが入力を相関させている場合は、同じペアをxellstorm側で順位相関として設定します。
- 残ったものを確認する。互換性チェックは、数式をExcelが保存した値と照らし合わせ、xellstormが計算できないセルを示します。結果を判断に使う前に、それらを置き換えてください。
- 実行して比べる。すべてが変換され、互換性チェックに問題がなければ、ModelRiskとの平均・パーセンタイルの差はサンプリングノイズだけです。設定をプロジェクトファイルとしてExcelファイルの隣に保存しておくと、あとで再実行できます。
よくある質問
ModelRiskやExcelのインストールは必要ですか?
いいえ、どちらも不要です。xellstormはExcelファイルから直接数式を読み取り、Windows、macOS、Linuxのブラウザー内で、独自のエンジンでモデルを計算します。
相関のあるModelRiskのモデルはどうなりますか?
分布は変換されますが、分布を相関させるコピュラは変換されません。U引数を通じてコピュラで動かす分布は、理由とともに一覧に出ます。相関はxellstorm側で順位相関として設定し直してください。整合性のない行列は最も近い有効な行列に補正され、散布図で実際に得られた相関を確認できます。乱数の組み合わせ方が違うと、相関のあるモデルでは、裾がModelRiskの結果と、サンプリングノイズだけでは説明できないほど違ってくることがあります。
ModelRiskと同じ結果になりますか?
モデルは同じですが、乱数は同じになりません。変換した分布はパラメーターを引き継ぎます。すべて変換でき、互換性チェックにも問題がなければ、ModelRiskとの平均・パーセンタイルの差はサンプリングノイズによるもので、試行回数を増やすほど小さくなります。
同じExcelファイルでModelRiskを使い続けられますか?
はい。取り込みでは、数式をxellstorm自身の設定に入力として登録するだけで、ファイルには何も書き込みません。ExcelファイルはこれまでどおりModelRiskで開いて実行できます。
ModelRiskは、その権利者の商標です。xellstormはModelRiskとは提携しておらず、関数名は、xellstormが読み取る内容を示すためだけに載せています。
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